『大腸がん、脳卒中、アルツハイマー、糖尿病』歯周病が招く重病

大阪・梅田の歯医者 カツベ歯科クリニック

『大腸がん、脳卒中、アルツハイマー、糖尿病』これらはお互いに関連性のない病気のように思えるが、実は歯周病という一つの病気によって関連付けられています。国内の歯周病の推定患者数は8,000万人とも言われており、まさに他人事ではない数字です。

100年前から疑われている「全身疾患」との関連

歯周病と全身疾患の関連性が疑われるようになったのは実は100年ほども前のことです。この頃、アメリカのW・D・ミラーという細菌学者が「歯性病巣感染説」という歯周病がさまざまな病気の原因になっているという内容を発表しました。ただし、ミラーの説では「この病気の人には口の中にこんな細菌が多い」という相関性を指摘しているにとどまったものでした。

1980年代に入ると歯周病と全身疾患との関連性に再び注目が集まることなり、マウスを使った動物実験も行われるようになりました。ここでの報告により、歯周病は単なる歯ぐきの炎症が悪化した病気とは違うということが明らかになってきたのです。

 

がんなど大腸で起きる病気への影響

昔から歯の無い人は消化器系の病気になる率が高いと言われていましたが、それは十分に噛み砕けないことで胃や腸に負担をかけているというだけではないようです。2017年に慶応義塾大学が報告した内容によれば、口の中にいる常在菌(クレブシエラ・ニューモニエ)が腸内に入ることで炎症を引き起こすというものでした。この菌は口の中では弱毒性で危険度も高くありません。仮になんらかの形で腸に到達しても本来であれば腸内細菌により菌が殺されます。しかし、抗生物質などで腸内細菌が上手く働かない場合には炎症が拡大してしまい、クローン病のような病気を患ってしまうのです。

また、歯周病菌が大腸がんの原因にもなるという論文も数多く存在します。お口の中や消化管にいるフソバクテリウム・ヌクレという菌は大腸がん患者の便を調べると、特に多く存在する傾向にあります。また、粘膜内がんではアクチノマイセス・オドントリティカスという歯周病菌の定着を助ける働きをする菌が検出されており、今後の研究で便の中の菌を調べることでがんのリスクを知ることが期待されています。

 

心筋梗塞など血管の病気との関連

歯周病菌は動脈硬化を促進し、プラークという血栓を作り出すことで血流の詰まりを招きます。また、虫歯の原因菌として有名なミュータンス菌が脳卒中を引き起こすリスクを高めることも指摘されています。マウスによる実験では、ミュータンス菌を口の中にいれると脳の中で小さな出血が起きやすくなります。これは通常、血管が傷つくと止血のために傷口へ血小板が集まるのですが、菌が血小板よりも先に付着してしまうため十分に止血ができず出血が広がってしまうのです。口の中にいる菌が血管の健康にも影響を与えているという研究結果であると言えます。

 

全身疾患の改善にはお口の健康改善も必要です

いかがでしたでしょうか。お口の菌と全身疾患との関係が少しばかりご理解頂けたのではないかと思います。全身疾患を患っている方、または全身疾患を予防したい方は、ぜひお口の健康を見直して頂けるのが良いのではないかと思います。

 

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カテゴリー名:歯周病

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